法人の名称
※絶対的記載事項です。必ず記載してください。
1.商号
商号は会社の名称です。会社の名称は会社の「顔」そのものですので、十分に検討した上で決定する必要があります。
(1)法人形態の文言
「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」などの法人形態が必ず必要です。これらは前後どちらにつけても問題ありませんが、一般社団法人や財団法人などは前につけることが多いようです。
例)〇〇〇〇株式会社、合同会社××××、一般社団法人△△△△
(2)禁止されている名称
ア.法人形態の重複
「株式会社」「合同会社」などを重複して使用することができません。
例)合同会社〇〇〇〇商事株式会社、株式会社××××企画財団法人
イ.社会的認知度の高い有名企業の商号
例えば「三井」「住友」「三菱」などはあまりにも有名な企業のため、この文言が入っている場合は認められない可能性があります。これは会社法の第八条に「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。」と定められているためです。
ウ.同じ住所に同じ商号の使用の禁止
雑居ビルなどのたくさんの会社が入居している場合などに出てくる問題です。例えば以下のような場合
例1:登記可能)
株式会社今林 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号 今林ビル4階
株式会社今林 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号 今林ビル6階
このように階数が異なるだけの場合は登記が可能です。
例2:登記不可)
株式会社今林 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号 今林ビル
株式会社今林 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号 今林ビル2階
このように上の住所がビル全体を包括的に本店所在地と特定している場合、そのビルの一部を同じ名称で登記することができません。
例3:登記可能)
株式会社いまばやし 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号
株式会社イマバヤシ 福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号
このように同じ発音であっても表記方法が「漢字」「ひらがな」「かたかな」などで異なる場合は登記が可能となります。
また、仮に住所が異なり登記自体が可能であったとしても、まったく同じ名称になるのは抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。そういったことを避けるために管轄法務局の「商号登記簿」で調査すると確認が可能です。
(3)使用可能な文字と禁止されている文字
すべての文字が使えるわけではありません。主なものとしては漢字、ひらがな、かたかな、アルファベットとなりますが、それ以外では使用が可能なものと禁止されている文字があるので注意が必要です。
使用が可能な文字
・アラビア数字(1、2、3等)
・記号(&、’(アポストロフィ)、,(カンマ)、―(ハイフン)、.(ピリオド)、・(中点)等)
・空白(スペース) ※アルファベットを用いる複数単語を区切る場合に限り使用可能
使用が禁止されている文字
・ギリシャ文字(α、β、γ等)
・英語以外のアルファベットで英語では用いられない様式の文字(français(フランス語の意味)の「ç」、español(スペイン語の意味)の「ñ」等)
・ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、ⅰ、ⅱ、ⅲ等)
会社の名称というものは会社の顔そのものと言っても過言ではありません。ですので、じっくりと考慮した上で決定することをお勧めいたします。名称の変更は可能ですが、定款と登記事項の変更が必要となり手間と費用が発生します。なるべく大規模化したあとでもなるべく変更しなくても済むようにじっくりと考えておくべきでしょう。